
皆さま、こんにちは。希望館病院の院長を務めております、長坂伊左男です。
希望館は、1923年の関東大震災の際、行き場を失った人々の生活の場所としてその歴史をスタートしました。その後、集まった方々が必要とする医療を提供するために病院がはじまります。それ以来、医療と社会福祉を融合させることで地域社会に貢献し続けてきました。しかしながら、今日の私たちは、急速に変化する社会の中で新たな挑戦に直面しています。
現代の日本社会では、85歳以上の高齢者や認知症有病率、単身世帯の増加や多死社会といった課題が山積しています。さらには患者を支える家族がダブルケアの負担に直面している問題も指摘されています。これに伴い、私たちが提供すべき医療や介護の在り方も大きく変わりつつあります。こうした現状に対応するために、希望館病院が果たすべき役割を再考し、進化を続けていく必要があります。
私たちの病院は、現在、単に病気を治す場所にとどまらず、人生の困難に直面した人々が心身のケアを受け、尊厳を持って生き続けることを支援できる場所を目指しています。しかし、まだその理想を実現できているわけではなく、日々試行錯誤を重ねながら、目指すべき方向に向かって進んでいる段階です。
希望館病院は、患者様の抱える多様な課題に対して、医療だけでなく、生活支援や介護、心のケアを統合的に提供することを目指しています。「病気を治す」だけでなく、「病気をきっかけとして生じる人生の困りごとを解決するための支援」を行う病院でありたいと考えています。たとえ治癒が難しい身体の状態であっても、その人の生活の質を最大限に保つために、私たちは力を尽くしていきます。
この目標を達成するためには、地域社会との連携を深め、地域包括ケアシステムの中で信頼される存在となることが不可欠です。私たちは、近隣地域の皆さまにとって、安心して頼れる病院であり続けることを目指しています。そのために、地域との結びつきを強化し、皆さまの生活と健康を支える拠点としての役割を果たしていく所存です。
もちろん、この道のりは決して平坦なものではありません。私たちにはまだ多くの課題があり、組織として成長し続ける必要があります。スタッフ一人ひとりが「ヒトを愛する気持ち」を大切にしながら、患者様やそのご家族に寄り添い、共に考え、共に悩み、共に歩んでいく姿勢を持ち続けることが求められています。また、スタッフの成長にも力を入れ、地域社会に貢献できる人材を育てることも私たちの大切な使命です。
これからも、医療法人松沢会は「生活を支える医療」と「自立を支援するケア」を提供するために、努力を惜しまず、地域社会の皆さまと共に歩んでまいります。まだ不足している部分も多々ありますが、一歩一歩着実に理想に向かって進んでいくことをお約束いたします。皆さまの温かいご支援とご指導を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
希望館病院 院長
長坂伊左男